【卵巣嚢腫と妊娠】不妊治療や出産への影響を解説
こんにちは。サロンNAGAのオーナーERIKAです(^^
今回は多くの女性が経験する可能性のある「卵巣嚢腫」について、特に妊娠や不妊治療、出産との関連性を中心にお話しします。
記事を書くに至った経緯
なぜ今回、数ある子宮や卵巣の病気の中でこの卵巣嚢腫をテーマに書こうと思ったのかというと、実際私自身が9歳の頃にこの卵巣嚢腫を患い手術を受けた経験があるからです。
さらには卵巣捻転も経験しました。私の場合は幸いねじれかけくらいで済み、しばらくしたら痛みは治まったのですが、あの痛みは大人になった今でも忘れられません。
何よりも怖いのが卵巣は沈黙の臓器と言われていて、病気があっても症状が出にくく、見つけにくい臓器です。
私が卵巣嚢腫を発症しているのに気が付いたのも本当に偶然で、学校の尿検査で卵巣とは関係のない別の臓器に関する数値が悪く、病院にいってエコー検査を受けたらたまたま卵巣嚢腫が見つかりました。
もし別の臓器が元気であの時エコー検査を受けていなかったら・・・と思うと恐ろしいですね。
卵巣嚢腫は9歳という幼い年齢でも、どの年代の方も女性であれば発症する可能性のある病気です。
この記事を読んで、卵巣嚢腫に対する理解を深め必要な場合には適切な医療サポートを受けられるようになっていただければ幸いです。
卵巣嚢腫とは?
卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)とは、卵巣にできる袋状のこぶのことです。医学的には「卵巣嚢胞」とも呼ばれます。この袋の中は、水分や半固形の物質で満たされていることが多く、大きさは1cm未満の小さなものから、20cmを超える大きなものまでさまざまです。
卵巣の構造と機能
卵巣嚢腫について詳しく知る前に、まず卵巣の構造と機能について簡単に解説します。
卵巣は女性の骨盤内にある左右一対の臓器で、それぞれゴルフボール大くらいの大きさです。主な役割はこちらです。
1. 卵子の生成と排卵
2. 女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌
卵巣の表面は上皮に覆われており、内部には数十万個の原始卵胞が存在します。
これらの卵胞が成熟し、排卵のたびに1つの卵子を放出します。
卵巣嚢腫の種類
卵巣嚢腫にはいくつか種類がありますが、主なものはこちらです。
1. 機能性嚢腫(生理的嚢胞)
最も一般的な卵巣嚢腫。排卵に関連して生じる嚢腫で、通常は自然に消失します。
主に2種類あります。
・卵胞嚢腫:排卵前の卵胞が大きくなりすぎて破裂しなかった場合に形成
・黄体嚢腫:排卵後の黄体が液体で満たされて形成
→ほとんどの場合、数週間から数ヶ月で自然に消失します。
2. 子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)
子宮内膜症に伴って発生する嚢腫。古い血液が蓄積するため、中身がチョコレート色をしていることからこの名前がつきました。
痛みを伴うことが多く、不妊の原因となることもあります。
3. 奇形腫(デルモイド嚢腫)
胚細胞から発生する嚢腫で、様々な組織(髪の毛、歯、皮膚など)を含むことがあります。
良性のものがほとんどですが、まれに悪性化することもあります。
特に若い女性に多く見られ、私自身もこの奇形腫を患いました。
4. 粘液性嚢腫
卵巣表面の上皮細胞から発生する嚢腫。ゼリー状の粘液で満たされており、非常に大きくなることがあります。
良性のものが多いですが、悪性化する可能性もあるため注意が必要です。
5. 漿液性嚢腫
卵巣表面の上皮細胞から発生する嚢腫で、水様の液体で満たされています。
良性、境界悪性、悪性のものがあります。
卵巣嚢腫の症状
卵巣嚢腫の多くは無症状で、健康診断や他の理由での検査中に偶然発見されることが多いです。しかし、大きくなったり合併症を起こしたりすると、このような症状が現れることがあります。
1. 下腹部の痛みや不快感
2. 下腹部の膨満感
3. 腰痛
4. 月経不順
5. 排尿や排便時の違和感や痛み
6. 性交痛
特に、急激な痛みを感じた場合は、嚢腫の破裂や茎捻転(嚢腫が捻れて血流が悪くなる状態)の可能性があるため、すぐに医療機関を受診する必要があります。
卵巣嚢腫の診断方法
卵巣嚢腫の診断には、主に以下の方法が用いられます。
1. 内診:医師が指で骨盤内の異常を触診します。
2. 経腟超音波検査:膣内に挿入したプローブで卵巣の状態を観察します。
3. 経腹超音波検査:おなかの上から超音波で卵巣を観察します。
4. MRI検査:詳細な画像を得るために行われることがあります。
5. CT検査:嚢腫の状態や周囲への影響を詳しく調べるために使用されます。
6. 腫瘍マーカー検査:血液検査で、悪性腫瘍の可能性を調べることがあります。
これらの検査結果を総合的に判断して、嚢腫の種類や治療の必要性が決定されます。
卵巣嚢腫の治療
卵巣嚢腫の治療方針は、嚢腫の種類、大きさ、症状、年齢、妊娠希望の有無などを考慮して決定されます。主な治療方法はこちら。
1. 経過観察
小さな機能性嚢腫の場合、多くは自然に消失するため、定期的な検査で経過を見守ります。
2. 薬物療法
ホルモン療法(低用量ピル)で排卵を抑制し、機能性嚢腫の発生を予防したり、既存の嚢腫を小さくしたりします。
3. 手術
- 腹腔鏡手術:小さな切開で行う低侵襲な手術です。
- 開腹手術:大きな嚢腫や悪性が疑われる場合に行われます。
手術の際は、可能な限り卵巣の機能を温存する方法が選択されますが、状況によっては卵巣の一部や全体を摘出することもあります。
卵巣嚢腫と妊娠・不妊の関係
卵巣嚢腫が妊娠や不妊に与える影響は、嚢腫の種類や大きさによって異なります。
機能性嚢腫:通常、妊娠や不妊に大きな影響を与えません。
子宮内膜症性嚢胞:卵巣機能に影響を与え、不妊の原因となることがあります。
大きい嚢腫:卵巣の正常な機能を妨げ、排卵や受精に影響を与える可能性があります。
卵巣嚢腫があっても多くの場合は妊娠可能ですが、嚢腫の状態によっては治療が必要になることがあります。不妊治療を受ける際には、卵巣嚢腫の存在や状態を考慮しながら最適な治療計画が立てられます。
妊娠への影響
卵巣嚢腫があると妊娠できないの?この質問をよく見受けます。結論から言えば、卵巣嚢腫があっても多くの場合は妊娠可能です。ただし嚢腫の種類や大きさ、位置によっては妊娠に影響を与える可能性があります。
1. 排卵への影響:大きな嚢腫が排卵を妨げる場合がある。
2. 受精卵の着床:嚢腫が大きいと、子宮内膜の状態に影響を与え、着床を難しくすることがある。
3. ホルモンバランスの乱れ:一部の嚢腫はホルモン分泌に影響を与え、妊娠しにくくなる可能性がある。
不妊治療と卵巣嚢腫
不妊治療を受ける方の中には、卵巣嚢腫が見つかるケースもあります。この場合、主治医と相談しながらこのような対応をする場合がほとんどです。
1. 経過観察:小さな機能性嚢腫の場合、様子を見ながら治療を進めることもある
2. 嚢腫摘出術:大きな嚢腫や悪性の可能性がある場合は、手術で摘出します。
3. 薬物療法:ホルモン療法などで嚢腫を小さくしてから不妊治療を行うこともある。
重要なのは、卵巣嚢腫があるからといって、すぐに不妊治療をあきらめる必要はないということです。専門医と相談しながら、最適な治療方針を決めていくことが大切です。
妊娠中の卵巣嚢腫
妊娠前から卵巣嚢腫があった場合や、妊娠中に発見される場合もあります。妊娠中の卵巣嚢腫について、いくつかのポイントをお伝えします。
妊娠中の嚢腫の変化
1. 自然消失:妊娠初期に見つかった機能性嚢腫の多くは、妊娠の経過とともに自然に消失します。
2. 増大:ホルモンの影響で嚢腫が大きくなることもあります。
3. 合併症のリスク:稀ですが、嚢腫が捻転したり破裂したりするリスクがあります。
妊娠中の管理と治療
1. 定期的な超音波検査:嚢腫の大きさや性状の変化を観察します。
2. 経過観察:多くの場合、特別な治療はせず、慎重に経過を見守ります。
3. 手術:急性腹症などの緊急時や、悪性腫瘍が疑われる場合は手術を行うことがあります。
妊娠中の手術は、可能な限り妊娠中期(妊娠14〜27週頃)に行います。これは、妊娠初期の流産リスクや、後期の早産リスクを避けるためです。
出産への影響
卵巣嚢腫があっても、多くの場合は自然分娩が可能です。ただし、以下のような場合は帝王切開を選択することがあります。
1. 嚢腫が大きく、産道を塞いでいる場合
2. 破裂や捻転のリスクが高い場合
3. 悪性腫瘍の疑いがある場合
出産後、嚢腫が自然に消失することもありますが、残存する場合は産後の経過をみながら治療方針を決めていきます。
まとめ:心配しすぎず、適切なケアを
卵巣嚢腫は決して珍しいものではありません。妊娠や出産に影響を与える可能性はありますが、適切な管理と治療を行えば、多くの場合は健康な妊娠と出産が可能です。
大切なのはこれらのことです。
1. 定期的な婦人科検診を受ける
2. 気になる症状があれば早めに受診する
3. 医療専門家と良好なコミュニケーションを取る
4. 必要以上に心配せず、前向きな気持ちを持つ
皆さまが、自分の体と向き合いながら、幸せなライフスタイルを送れることを願っています。
わからないことやお困りのことがあれば、遠慮なくご相談ください。一人で抱え込まずに、周りのサポートを受けながら、この大切な時期を過ごしていただきたいと思います。
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